もう少し自然界の取り分を増やした方がいい

(日経「春秋」2014/9/19付) 少々まやかしの匂いがする。日本、中国、台湾、韓国がニホンウナギを保護するため、養殖に使う稚魚シラスウナギの量を来年はことしより2割減らすことで合意したというニュースに、そんな感想を持った。ことしのシラスは、日本では去年の3倍も捕れた。だから、養殖に使う量を来年2割減らしたところで何のルールもなかった去年よりずっと多い。ウナギの養殖はシラスを自然界から取り上げて始まる。グアム近くの太平洋で生まれた卵は少しずつ成長しながら何千キロも離れた日本、中国などの沿岸にたどり着く。そのシラスのうち人が頂戴すると養殖に回り、捕まらなければ自然界に生きて次の世代を育むことになる。かつて江戸の通人は、同じ天然ものでも何月はお台場で捕れたの、何月は江戸川の落ちウナギに限る、などとありがたがったそうだ。相手は絶滅危惧種のレッテルつきだ。もう少し自然界の取り分を増やした方がいい。
(JN) 稚魚の漁獲量を前年の2割減にするとは、だれが考えたのか、何を目的にこの基準を作り出したのか、便法とは言わないが、徐々に減らして行きましょうという消極的な方法である。でも、日中台韓が合意するとは、今時、素晴らしいことではないのか。ウナギの魅力が合意を引き出したのか。今後も、各国と自然を守って行きたいものである。人類は、自分たちの生活圏を強固にするために、自然を破壊し、様々な生き物をこの世界から無くしてきた。この世に誕生した以上、要らない種はないはずであるから、随分と自然のバランスを崩してきたものだ。この破壊の進行は、いずれ私たち人類の絶滅になって行くのであろうが、それがいつなのか。まずは、人類間での破壊行為を無くすことが先なのであろう。そのためにも、日本は、ぬるぬると長く日中台韓仲良くやろうではないか、絶滅危惧種にならないように。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO77263320Z10C14A9MM8000/