「冬来たりなば春遠からじ」

(朝日「天声人語」2015年1月16日) 縁起のことを験(げん)とも言い、お相撲さんはよく験をかつぐ。「験」のもとの字の右側は「僉(せん)」と書いて、二人が並んで舞い祈る姿を表している。祈りに応えて、しるし、きざしが現れることを「験」というと。その文字が交じる試験には、合格祈願の光景がつきものだ。今年も入試の季節を迎え、各地の天神様は絵馬が鈴なりに。東京で読んだ本紙「ひととき」欄には三つの「願掛け雑煮」の話があった。大学受験を控えた娘のために三が日に3種類作ったそうだ。その一つ京都の西京味噌(さいきょうみそ)仕立ては、「最強脳みそ(西京のお味噌)になりますように」の意味をかけた。あすからの大学入試センター試験には約56万人が出願している。今年は新旧の教育課程が重なり合う。試験会場は複雑に分かれ、うっかりして間違えぬ注意がいる。古い記憶をたぐれば、英詩人シェリーの「冬来たりなば春遠からじ」の詩句を覚えたのは受験のときだった。担任の英語の先生が励ましを込めて黒板に書いてくれた。試練をくぐる若者に同じエールを送りたい。
(JN) 一発試験の第一陣がいよいよ明日から始まる。受験者は、最後の調整、念には念をというところであろう。受験生を受け入れる側も先週より、最終準備が坦々と進められている。受験生とともに、明日は、緊張度が頂点に達する。できりうる限りの平等において行うというこの試験は、受験する者にも、会場を準備する者にも過酷である。もっと、良いものをと過日、中教審の答申があったが、学生の実力をを引き出すものになろうか。それは、今後として、まずは、明日からのDNCに全力を出し切れるように、受験生には頑張ってもらいたい。心から応援しますが、間違っても「頑張って」とは口からは出しません。事務的にひたすら作業を進めて行きます。明日は万全の体調で臨んでください。
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