天長節、明治節、文化の日

(朝日「天声人語」2014年11月3日(月)) 近代以降、きょうの呼び名は時代で変わった。明治期には天皇誕生日を祝う天長節。昭和の初めから明治節と称され、戦後に文化の日となった。歴史の刻まれた日は「晴れの特異日」としても知られる。「天長節日和」という言葉もあったそうだ。『三四郎』にも天長節がこれから出てくる。「空は限りなく晴れて、どこ迄(まで)も青く澄んでいる上を、綿の光った様な濃い雲がしきりに飛んで行く」。特異日があれば「特異人」というべき人もいて、雨男、雨女などと呼ばれている。尾崎紅葉は相当な降(ふ)り性(しょう)〈雨男〉だったらしい。その紅葉が、園遊会での講演を頼まれた。依頼した歌人佐佐木信綱も名うての雨男。誰もが雨を観念したが、当日になると不思議と降らない。雨男と雨男がかち合ったため、陰が極まって陽を生じたと柴田宵曲(しょうきょく)著『明治の話題』が伝えている。ちなみに2010年までの30年をみると、11月3日が晴れる率は東京で70%、大阪73%、仙台は67%。雨男、雨女の返上にいい祝日だが、きょうは晴雨が割れそうだ。
(JN) 休日は晴れが良い。どこかに出かけようと思っても、雨では嫌になる。この11月3日は、大学祭の行われる可能性が高く、是非とも、晴れてほしい。その11月3日が祝日となったのには、様々な理由があり面白い。ウィキペディアによると、憲法発布は11月1日の予定であったが、施行日がメーデーと重なるという理由で直前に11月3日に変更されたと、また、参議院側は11月3日を憲法記念日とすることを強硬に主張したが、GHQ側が、11月3日だけは絶対にだめだと主張し、衆議院が5月3日を憲法記念日とすることに同意してしまったと。突然GHQ側から、憲法記念日という名でない記念日とするなら何という名がいいかという話を持ち出してきたと。特異日としては結構、安定的だが、その日が何の日になるかはなんとも不安定であったようだ。
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