サッカー以外について「日本の情報はあまりない」

(日経「春秋」2014/8/13付) 「日本人は人前で笑わないと思っていた。私がこれまでに取材した人は誰も笑わなかったわ」「日本人は人をからかったりはしないんじゃないのかい」。「おいおい、そんなわけないだろ」と反論しながら、決して少数ではないであろう普通の外国人に今もある日本人観を垣間見て悄然(しょうぜん)とするのである。サッカー日本代表ハビエル・アギーレ新監督はメキシコ人。記者会見では、サッカー以外について「日本の情報はあまりない」と正直だった。だから、「妻と息子とともに東京に住み、街に出て普通の人々と交流したい」と聞いてホッとする。46年前、五輪で日本サッカーが銅メダルを決めた3位決定戦の相手が地元メキシコだった。「メヒコ(メキシコ)!」という応援の大合唱が、日本2―0のまま終盤になると、「ハポン(日本)!」に変わったのを思い出す。やけっぱちか、いや日本びいきなのかも。不思議な人々だと思った少年の頃の記憶が鮮明である。
(JN) 地球の端の日本に居る人々は何を考え何をしているのか。日本に興味を持たない限りはわからないであろう。日本サッカー代表チームの監督を引き受けてくれるアギーレ氏は、ビジネスだけでなく、日本人を少しでも知ることで、チームの能力を上げようとするところに大きな期待を持つ。スポーツは、人間が行うものであるから、ただ技術だけの向上では強くなれない。私たち日本の世界に入り込んで、チームを勝てるチームにして、また日本の文化も楽しんでいただければ、私たちも嬉しい。不思議で陽気なメキシコ人、余所余所しくないアギーレ一家がこれから4年間、私たちをやきもきさせてくれることを望む。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO75595950T10C14A8MM8000/