「命令を果たした」誰かがこの地域のどこかで息を潜めている

(日経「春秋」2014/7/19付) 「命令を果たしただけだ。別のやり方があったかもしれないが……」。1983年9月、サハリン上空で大韓航空機を撃墜した旧ソ連軍機パイロットの言葉である。日本人28人を含め、269人が命を落としたあの悪夢の再来である。親ロシア派武装勢力との争いが続くウクライナ東部でマレーシア航空機が撃墜され、乗客乗員全員が亡くなった。きっと「命令を果たした」誰かがこの地域のどこかで息を潜めているだろう。現場の凄絶な映像を見れば、旅客機は一瞬にして千々に砕けたのだとわかる。真相を徹底的に究明しなければならないが、周辺は親ロ派が支配するだけに一筋縄でいきそうもないという。なんという不条理か。それにしても、なぜまたマレーシア航空機なのか世界中が天を仰いでいよう。今年3月、南シナ海で消息をたった便のミステリーも解けていないのだ。思えばかの大韓機事件も航路逸脱の謎を残したまま現在に至る。
(JN) 平和と戦時状態が一緒に存在する現在、どこで不幸が起きるかわからない。それにしても、なぜ無防備な旅客機を追撃するようなことをするのか、私にはまったく理解ができない。それほど、緊迫した状態にウクライナはあるのか。軍人は「命令を果たす」ことは正常な状態であろうが、戦時状態は正常な状態ではなく、その命令自体が無謀であることにも命令を受けたものは判断ができない。この無謀な判断を起こさないように訓練を軍隊は行わないと、その国は内部から崩れて行くのである。ソ連は、その後、地図上から消えて行った。国は消えてもまた新たな国が生まれるが、人の命はそうはいかない。私たちの地球は平和ではないと理解しなければならないのか。自国民を守るために他国民を殺戮する行動ある限り、このような悲劇はなくならない。
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