ネット講義を広めて大学改革に生かせ

(日経「社説」2013/10/17付) 大学の授業をインターネットで無料で配信する動きが世界で広がり、日本でも来年春にサービスが始まる。多くの人に教育の機会を広げ、大学の知名度を高める手段としても期待は強い。これを大学改革や国際競争力の強化にどう役立てるか。産業界とも連携して知恵を絞ってほしい。だが日本では対応が遅れ、東大が9月以降、米配信会社を経由して2講座の公開を始めたのにとどまる。教員の多くが新しい情報技術の活用に消極的で、ネット講義を、既得権益を脅かす黒船のようにみる教員もいるという。参加大学や講座数を増やすため、まず大学関係者の意識改革を求めたい。日本の大学の研究水準は世界に引けを取らないが、情報発信が貧弱で留学生集めも苦戦している。大学の魅力を国内外に発信し、意欲の高い学生を集めるのにネットをもっと活用すべきだ。産業界が協力する余地も大きい。企業が技術開発を支援し、受講者に使いやすいサービスになれば、新たな教育ビジネスの芽にもなるだろう。ネット講義が国境を越えた人材獲得競争に使われ始めた現実も見据え、日本独自の配信サービスを定着させたい。受講者データの保護や利用について協議会がルールを作る必要もあろう。
(JN) 高等教育の相手は、能力や目的等が様々である。であるから、サービスはそれぞれの能力や目的等に応じて、その準備をしなければならない。学習能力が高く新しい情報を取り入れられる者にとっては、ネット講義は大変便利で有意義である。しかし、目的意識もなく学習能力の低いものには、ネット講義は猫に小判であろう。私たちは授業方法や開設授業を広く準備することができないので、高等教育機関はそれぞれの特徴を持ち授業を準備することである。そういう意味で、自分から主体的に行えば、自分のペースにて行うことができるのであるから、学習したい者はネットにて単位互換も進めて、学外の授業と学内の授業と競争させて良い授業を残して行く方法もなかろうか。それは放送大学なども利用することも考えられる。そうなると、弱小高等教育機関は競争の原理の中で消えて行く運命であろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO61186260X11C13A0EA1000/