- (日経/春秋/2012/6/3付)モンゴル史研究者の杉山正明さんが著書「遊牧民から見た世界史」で、かつて遊牧民といえば、洋の東西を問わず「野蛮」な存在として否定的に語られるのが普通だった。実は全くのぬれぎぬだと杉山さんは解き明かす。戦わずして味方を増やし版図を広げ、西欧人による大航海に先駆け東洋と西洋を結び、モノや情報の流通を担った。近年はこうした認識が欧米で広がり、日本でも最近の大学生は「遊牧民」に悪い印象はないという。現代日本の大都市で遊牧民を名乗る若者がじわじわと増えている。横文字でノマドと称する。定まったオフィスには通わず、パソコンやスマホを片手にカフェや公園で仕事をこなす。「一所」懸命とは違う、縛られない働き方へのあこがれ。在社時間より成果で勝負。そんな今風の野心も垣間見える。世界史の遊牧民に倣い、あれこれ目詰まりを起こした日本のビジネス社会に風穴を開ける一大勢力に育つか。
=>(JN)一所懸命、封建時代からやっと日本は抜け出せるか。発想も所有も所属も、なかなかそれから逃れるのは難しい。場所の所属意識なく、しかし結束のある世界に散らばるユダヤ人や華僑のように強い絆の力が日本人にあるのだろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42151190T00C12A6MM8000/