司馬遼太郎生誕100年 230816

 生誕100年の司馬遼太郎に『有明抄(230816佐賀新聞)』は思う◆司馬さんの小説には、「昭和」を題材にした小説は見当たらない。敗戦の年、学徒動員で戦車兵となった。この時代を調べ、ノモンハン事件を書こうとしたが、書けずに終わった。司馬さん「昭和というものを書く気は起こらない。書いたら1年を待たずしておかしくなりそう」と◆日本の軌跡は昭和に入ってからの20年で崩れ落ちた。司馬さんはそう語る一方、これから日本が世界に付き合ってもらうためには「真心」が必要と話した◆「司馬史観」が全て正しいとは限らないが、真心の大切さは時代を超えた真理だろう。
 (私は)司馬史観を卒業しようと、我が司馬コレクションを段ボール箱につめて某Vブックスに渡した◆しかし、時々読みたくなる。いまはkindleに『坂の上の雲』を入れて、時々読んでいる。そのおかげで、私の頭は司馬史観になってしまう◆でもそれが良い。時には司馬史観である。そして、坂の下の泥沼からの脱出を思うのである。
*画像は『司馬遼太郎』(司馬遼太郎記念館、2004年4月)のp.42より。