『#安寿と厨子王』

『#安寿と厨子王』<2022年8月4日(木)>
 日本の技能実習制度への米国務省の指摘に『春秋(220804)』は思う▼森鴎外の代表作に「山椒大夫」がある。人買いに連れ去られ、母と離別した姉の安寿、弟の厨子王の悲運▼小説の原典である古い説話は、人買いに対する報復劇の色彩が強い。文豪は勧善懲悪の展開に手を加えた。厨子王は行政官として強制労働を禁じる。人道的に正しい政策により、人買いの山椒大夫は、今でいう人材派遣のような適法な業態に転換。「一族はいよいよ富み栄えた」と。なぜだろう▼米国務省は、世界各国の人身売買に関する報告書を公表。日本の技能実習制度、「強制労働」をさせられている疑いもあると指摘▼法務省は、人権侵害が起きない制度を目指す、と表明した。政策の見直しにより、わが国はいよいよ繁栄した。そんな結末を期待したい。
 (私は)この話の先を知りながらも、幾つになっても辛くて辛くて。先の見えない。どこへ行けばよいのか▼それが現実に、技能実習生の人たちにも、逃げ出して行く日本の社会。子供を宿して、どうにもならなくなった人もいる。そんな日本にまだ来てくれる人がいる▼政策の見直しに当たって、それを進める者たちは、どこを見て考えていくのか。「山椒大夫」を先ずは読んでみてはどうだろうか。
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