『戦後と同じくらいの長さを生き抜いたはな子の死は・・・』

『戦後と同じくらいの長さを生き抜いたはな子の死は、花子の無念をあらためて愚かな人間の胸に刻むのである』
 井の頭自然文化園のはな子について、「春秋」(日経/16/5/29)は思う。「仲間もおらず、後半生のはな子は孤独だったようだ。飼育員を死なせる事故も起こしている。それでもみんなに愛され、先日、天上に旅立った。国内のゾウで最高齢の69歳。戦後と同じくらいの長さを生き抜いたはな子の死は、花子の無念をあらためて愚かな人間の胸に刻むのである。」
 動物園は、世界に生存する動物たちを生で知ることができる。でも、自然の姿ではない。その状況によっては、檻の中に閉じ込められたままであることがある。檻でなくとも、生活範囲は狭く、自然とは程遠い与えられた環境の中でいなければならない。仲間や家族がいないことも多い。井の頭文化園のはな子さんは、孤独であったろう。仲間がいなくとも、生きることを69年間更新できた。それは、周りの者の努力があったのであろう。戦後のこの歴史において、彼女に会いに来た人々はどのように変化してきたのか、話を聴いてみたい。(JN)