赤いナポレオンの死

(日経「春秋」2013/10/10付) 20世紀を象徴する人物がまた1人、ベトナムボー・グエン・ザップ将軍が4日、亡くなった。1911年生まれで102歳だったという。赤いナポレオン。そんな異名をさずかるほどの軍略家だった。フランスからの独立をめざしたインドシナ戦争、そして米軍とのベトナム戦争。彼は10代で政治活動にたずさわり、若くして入獄も経験したが、軍事については中国の古典「孫子」を読んだり、異名の由来となったナポレオンを研究したり。つまり独学だった。そんな人物がベトナム人民軍を立ち上げ、独立戦争、さらに米国とのベトナム戦争も指導した。「救国の英雄」とたたえられるのも、うなずけよう。もっとも、栄光の裏にはえてして悲惨がある。米軍を追い払って成立した統一ベトナムは、社会主義化を性急に進めたため多数の難民を生んだ。20世紀は「戦争の世紀」とも「民族解放の世紀」とも「革命の世紀」ともいわれる。確かに時代の一面を体現した人だった。
(JN) 闘わなければ自由を得られない、この世界、多くの人々が犠牲になった。特に共産主義は暴力革命であから、米国を追い出すまで闘いは続き、その傷跡はまだ残り続けている。米国は火力や化学力で、ベトコン等を制圧しようとした。枯葉剤によるその犠牲は次世代にまでわたっている。そんな中、ザップ将軍は1世紀に亘り、ベトナム人民のために闘いぬいた。彼の死とともに、この100年の人民の歴史を振り返ってみましょう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60896060Q3A011C1MM8000/