物差しの違う他者と「うまくやっていく」能力

  • (日経/春秋 2012/7/1付)雪と氷に囲まれた南極の基地。閉じた空間で厳しい環境を生きる観測隊員は、知性や技能だけでは務まらない。体力。耐久力。粘り。さらに、お互いに「うまくやっていく」能力が不可欠だ。先日、都内で「孤住から集住へ」と題したシンポジウムが開かれた。大小のトラブルは必ず起こる。それでもこうした雑居型の集合住宅が年々増えているという。年齢も職業も立場も異なる人々が、対等の立場で対話し、規則を決める中で譲歩や妥協の技術を身につけていく。価値観の異なる相手に慣れ、子育てなどで助け合う。若者たちには結婚生活への心の準備にもなる。かつては物差しの違う他者と「うまくやっていく」能力をはぐくむ場があれこれあり、組織の強さやご近所の助け合いにつながっていた。いま、あえて煩わしさを求め雑居を選ぶ人が若者らに増えるのは、私たちが無くした能力を取り戻す試みかもしれない。

=>(JN)物差しの違う他者は、異国の人たちもある。それは郷土の外から徐々に諸外国まで広がる。私たちはある程度の広がりを作っても、そこで閉ざしてしまう島国根性がある。そうならないように、若者たちの環境づくりを考えたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43245160R00C12A7MM8000/