「元気な若者男性」だけを求める面はないか

(日経「春秋」2014/5/4付) 「早く仕事をしなさい、この『人手不足』っ」。1970年代の刑事ドラマ「俺たちの勲章」、口は悪いがきっぷのいい女将と剽軽(ひょうきん)な店員の近しさを表現した。戦後復興から高度成長へと、長く人手不足が当たり前だった。映画「男はつらいよ」シリーズにも、通称・タコ社長が、主人公の実家である団子店の店員に「うちに来ないか」と誘うのだ。いつも金策に苦労していた社長が、増える仕事をこなそうと人集めに走り回る。作品の公開は1991年。バブル景気の余熱がまだ冷めぬころだ。それからほんの数年後、大手も中小も「人余り」に悩み始め、安い労働力を使い低価格や長時間営業で売る「デフレビジネス」が全盛となる。また節目を迎えた。人手不足から居酒屋などで閉店や営業短縮が相次ぐ。今の採用にも「元気な若者男性」だけを求める面はないか。様々な壁を乗り越えて働きたいという人は多い。経営者は知恵の絞りどころだ。
(JN) 中小企業は、人を取るのに必死である。大企業がそうではないということではない。給与や様々な条件が優れる大企業に流れる若者の中から、如何に自社とともに働くものを探し、引き入れるのは並大抵ではない。就職関連部署にいた時、態々、こちらを訪ねてきて熱心に説明をされる社長や人事担当の方々、頭が下がるのであった。こちらは、常識知らずゆえ、社会常識をも教えていただいた。その一方で、若者たちやその親は、知名度重視が多く、紹介しても見向きもしないこともある。片思いや、無理やりのお見合いでは、その後は、幸せにならない。況してや、元気だけでは駄目だ。お互いが、理解し合うことができるように、関係者の努力が必要である。若者が使い捨てにならぬよう、それぞれに、自分たちの立場で、考えていきたい。
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