低頭族 240331

 「歩きスマホ」に『天声人語(240331)』は思う▼遠くを見る目があるのに、下を向いて歩き、ぶつかり合う▼目の前の人をよけるより、大事なことってなんですか? 「歩きスマホ」による事故、東京消防庁管内、過去5年で158人が救急搬送されている。年代では50代がトップ▼中国では「低頭族」とも呼ばれる。かつて皇帝に謁見する際、「三跪九叩頭の礼」を求めた国である。現代の皇帝はスマホかと▼一刻を争って見なければならない画面など、めったにあるまい。おそらくそこには、「退屈」という問題が▼かの李白は詠んだ。<頭を挙げて山月を望み、頭を低れて故郷を思う>。しばしスマホをカバンにしまい、わが町を眺めてみたい。春風やさしく、桜の花も先始めている。上を向いて、歩こう。
 (私の)頭は上を向く。あたたかな昨日今日、桜がどんどん花開く。ぼんやり、桜を見ながら歩いていると、低頭族がぶつかりそうになる。後から自転車が突っ込んでくる。適切に頭を動かさないと、危険な世界だ。退屈する余裕がない。気をつけながら桜を見よう。これから1週間は低頭族ではなく花見族が互いに注意だ。