問うべきは私たち自身 240311

 13年前そしていまを『天声人語(240311)』は思う▼宮城県女川町を見下ろす丘の上で、これを書いています▼東日本大震災の1カ月後に、ここから見た光景を思い出します。あなたをさらった津波。街全体が沈み、道は海の中に続いているかのようです▼原発に重大事故が起きたら・・・震災後につくられた各地の避難計・・・▼どんな光景が目の前に広がっているのか。自治体も、国も、裁判所も、知らないはずがありません。能登半島でも道が崩れ、救済が立ち往生するさまを見ました▼なぜでしょう。あなたたちの命の代わりに学んだはずのことが、なぜこんなふうになってしまうのでしょう。女川原発は秋にも再稼働するそうです。復興の街を風がただ吹きぬけてゆきます。

 (私たちは)過去の辛さは忘れたいが、自分たちのいまと未来のために忘れてはならないことがある。過去の社会の仕組みが何を大切にしているか。どうも、人の命や生活を二の次にしているのではないだろうかと思いたくなる。復興とはなんだろうか。何が優先されている復興だろうか。私たち一人ひとりがそれを問い詰めて、人が大切にされる社会にしたい。