『気軽にものを言いあえる職場かどうか』

<2016年8月19日(金)>
『気軽にものを言いあえる職場かどうか』

 電子メールの連絡が日常となったオフィス、これを何とか声を掛け合える環境にできないか、「天声人語」(朝日/16/8/19)はある企業の試みを伝える。「ヤフーのオフィスは、机の列がジグザグに並んでいて、Wの文字が連なる。歩く途中で同僚と声をかけあう機会をつくるのが狙い。コクヨの研究員、斎藤敦子さんは言う。『本当の知恵は、提案書や報告書ではなく人間にある。人と人との生のコミュニケーションの方がずっと刺激が大きい』。従業員それぞれの知恵が求められる。机の配置もないがしろにできない時代なのかもしれない。気軽にものを言いあえる職場かどうか。風の通り具合をながめてみるのも悪くない」。

 我が国は島国のためか、オフィスのデスクは島になっている。その島の中では常時、顔を突き合わせてのコミュニケーションがなされていた。しかし、PCの発達とともに、各々机にPC画面がそそり立ち互いの顔が見えなくなった。人の顔よりもPCの画面を見るようになり、書類も手渡しから画面でのやり取りになった。意見交換もPCを使っての情報交換が主となり、相手がいなくとも情報を送れるようになり、休日明けの仕事は、PCにある情報の確認にうんざりする。特に自分には文字読解能力が欠けており、直接の説明を聞きたい。PCで仕事するならば、どこの島だろうと、どこの部屋であろうと、座るところは勝手で良いのではないと思ってしまう。一つの島の中にとじこもらず、また外に出ても、例えばバスを待つ同士がスマートフォンという小さな枠の中に入り込まず、気軽に隣とのコミュニケーションをしたものである。(JN)