サンドイッチ、葉山で潮風の中で食べられれば幸せ

サンドイッチ、葉山で潮風の中で食べられれば幸せ
 日経の「春秋」(2015/5/18付)で、あるサンドイッチ店について述べている。東京・大手町に先月末、1軒のサンドイッチ店が開業した。ビル内の他のテナントは大手資本のチェーンが多いがここは違う。神奈川県葉山町にある個人経営の店の2号店なのだ。14年前に個人で開いた手作りパンの店が、健康に配慮した素材や製法へのこだわりからパン好きの評判を呼んだ。早い、安いのファストフードとは逆だ。ビジネス街への出店は冒険だと認めるが、すでに会社員でにぎわっている。葉山を含め、神奈川県の海沿いに広がる湘南が新ビジネスのゆりかごとして注目されつつある。今年のカンヌ国際映画祭に出品された是枝裕和監督の「海街diary」の主人公も、鎌倉の4姉妹だ。昔の映画やドラマで土地の魅力を知った人も多い。地域の元気のもとは好奇心にあふれる人々を呼び込むことだと、湘南の今を見ていると感じる。
 湘南、特に葉山は憧れのところである。そこで季節を感じながら生活をしたい。その葉山も地方である。その地方は、人が住み子供を育てるのに良い環境であるのに、なぜ、首都圏に人口が集中するのか。東京暮らし60年の当方には、自然豊かな故郷を持つ人々が羨ましいが、なぜか、その良い環境から出て、ゴミゴミした都心に出てきて、お仕着せの世界で過ごそうとするのか。地方にはそれぞれの文化や風土がある。葉山には、浜辺、ヨット、裕次郎等のいいイメージがあり、そんな土地で生まれたサンドイッチ店は、魅力的であり、その味や拘りに賑わっているのか。このような都心への進出が良いか悪いかはわからぬが、一時ブームに終わらず、都会の者たちに良いものを引き続き提供してほしい。このサンドイッチ店は、地道な努力でここまで来た。特に、役所の補助金を得るとか、そういうことではなく、個々の努力が実ったのであろう。お仕着せでなく、安全で美味しいものを提供して行きたいという志の結果であろう。しかし、できるなら都会で食べるより、葉山で潮風の中で食べられればもっと幸せであろう。そして、生活の場も、コンクリートジャングルから脱出したい。