今回の騒擾は革命なのか、反乱なのか

(日経「春秋」2013/7/5付) 「泥いろの水は、まことに聞いていた通りのナイル河で、もし清澄な流でも見つけたら旅人は却(かえ)って失望したかも知れない」。旅人に強烈な印象を与える川は、エジプト人にとっては自国の象徴でもある。古い体制を覆そうという大事を彼らは「ナイルの革命」と名づけることがあった。伝えられる軍のクーデターは新たな「ナイルの革命」なのだろうか。混乱は全土に広がっているという。夜行列車のように突っ走ることのできぬ民主化の長い道のりを、あらためて目の当たりにした感がある。アラビア語の「サウラ」は、革命と反乱、2つの意味を持つ。同じ反体制運動が、成功すれば革命、失敗すれば反乱である。2年前は確かに「アラブの春」という名の革命が起きたと思えた。その革命に上書きするかのような今回の騒擾(そうじょう)は革命なのか、反乱なのか。行方はまだ泥いろの水の中にある。
(JN) 革命は一度起こると直ぐには終わらない。新体制は安定しないもので内部分裂を起こし、それに乗じてそれを脅かそうとする勢力が出る。或いは公平性に欠く権力行使を行えば、期待した民衆は騒ぎ出す。そして、そ知らぬ顔して軍部が動く。春の後は夏がある。冬までは時間がかかる。どこかの国は、革命ではなかったが、半世紀に亘り政権を握っていた政権を一般大衆は愛想を尽かし、選挙にて期待されて新政権を樹立したが、やはり内部分裂を起こして政権を失ってしまった。まだ安定には時間がかかるのであろうか。それとも、一般大衆が選挙に関心が無くなれば安定しちゃうのであろうか。ナイル川の氾濫の如く、流域を押し流し、そこへ肥沃な土を残し、やがて新しい命が伸びてくるような「ナイル革命」は河川の整備で難しくなったようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56994310V00C13A7MM8000/