クラシック音楽を使う貧困対策

(日経「春秋」2012/12/12付) ベネズエラチャベス大統領が病に倒れた。独裁者か英雄か。これまで2度がんの手術を受けている。自ら完治宣言して4選を果たしたばかりだが、持ち前の強気で病魔に勝てるかどうか。突き抜けた個性は毒舌だけではない。貧しい人々への手厚い保護はばらまきと批判されるが、中にはユニークな政策もある。その代表例はクラシック音楽を使う貧困対策だろう。全てのオーケストラ楽器を子供たちに無料で配り、仲間と音を合わせる練習を積む。全国286カ所の教室に35万人が通っているそうだ。殺人や窃盗が日常茶飯事の極貧地区で、自暴自棄になっていた若者が拳銃を楽器に持ち替える。合奏の楽しさに目覚めて、顔つきが明るくなっていく。この政策で育ったカラカス青年オケが、外交樹立75周年を記念して来年秋に来日する。腕前は目を見張るばかりだ。チャベス政権の行方は読めないが、音楽は鳴り続けてほしい。
(JN) 是非とも、チャベス大統領には回復してもらい、オーケストラたちと一緒に日本に来てほしい。そして、我々の前で言いたい放題の演説をしてくれないであろうか。日本にも元気の良い独善じいさんがいるが、これとは違う。チャベス大統領のその実行力と命懸けの魂を肌で感じてみたい。そして、良い響きも聴かせてもらいたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49464760S2A211C1MM8000/