最低賃金上げより生活保護の脱却を促せ

  • (日経/社説 2012.07.26) 2012年度の最低賃金の引き上げ額の目安が時間あたり平均7円で決着した。焦点となったのは、最低賃金で働く人の手取り収入が生活保護の支給額を下回る「逆転現象」の解消だ。仕事に就くより、生活保護を受ける方が暮らしに余裕があるというのでは、働く意欲を失いかねない。ただ、生活保護受給者の就労促進は、最低賃金を引き上げ、生活保護の給付水準を下げればいいという次元のものではない。依然として厳しい中小・零細企業の経営状況や復興が遅れている被災地のことを考えれば、やむを得ない。無理な賃金の引き上げは、円高など日本経済を取り巻く厳しい環境からみても現実的ではない。生活保護の給付総額を抑えることは急務だ。このままでは財政が持たない。支給水準の「引き下げ」ありきではなく、医療扶助や生活扶助、給付の支給方法などのあり方を精査し、見直すべきだ。まずは成長が見込める医療や介護、農業、環境といった分野でも規制緩和を進め、雇用の受け皿となる市場を育てることが先決だろう。働けるのに生活保護に頼る人たちの自立を促すには、受給者一人ひとりを生活と就労の両面から支援する自治体のケースワーカーの増員も欠かせない。
  • (JN)最低賃金1,000円の話はどこへいってしまったのであろうか。できればこれに近づけてもらいたいが、まずは私たちは働き口が欲しい。働ける状態にあるものは仕事をして、生活保護を受けない策をがほしい。そのためには公の財政の力が必要であり、その資金源は税金であろう。未来の借金をできるだけ少なくするには、各自が負担をしなければならない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO44166350W2A720C1EA1000/