身近な自然に理解を深める日

  • (日経/春秋 2012/7/16付) 明治末の1910年夏、東京を大洪水が襲った。台風のもたらす長雨で荒川や綾瀬川の堤防が次々に決壊。浅草や千住、亀戸など下町一帯は一面の湖に。国土交通省によれば死者は369人に達する。この惨禍を契機に本決まりになったのが荒川放水路(現・荒川)の建設だ。幅約500メートル、全長22キロに建っていた1300戸の家や寺社、学校を立ち退かせた。丸ごと消えた村もある。近著「水危機 ほんとうの話」で、昔は堤防の一部を低くしたり切れ目を入れたりして洪水を逃がした。いまは高く丈夫に造る。近くに家が建つ。全体の流量は増す。ひとたび壊れれば被害は大きい、と解説する。きょうは海の日。海のない奈良県はこの日を「山の日・川の日」と定め、身近な自然に理解を深める日としたそうだ。奈良の発想を借り、海だけでなく、一筋縄ではいかぬ自然とのつきあいを家族で話し合うのはどうだろう。その美しさについて。恐ろしさについて。

=>(JN)日本では、西欧の技術が入るまでは、自然との共存を考えて生活環境を整備していた。しかし、西欧の技術は自然の打ち勝つこととで頑強なものを作り出している。その頑強なものが自然の力に流されている。我々はこの事実を学び活かさなければならない。昨日の地名も含めて、有機的に対応を考えたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43798150W2A710C1MM8000/