国民は忘れずにいたい 240208

 「記憶はない」と繰り返してきた文科相盛山正仁氏に『天声人語(240208)』は思う▼シャーロック・ホームズは物忘れの天才。いわく人間とは「小さな屋根裏部屋」▼「だから、無用の知識はどんどん忘れて、有用な知識の邪魔にならないようにする」▼ひょっとすると、この人もホームズに倣ったのだろうか。盛山文科相「政策協定」に署名までしながら、「よく覚えていない」と▼人間のいあらゆる思考は、記憶から始まる。都合の悪い過去の出来事をすべて忘れたとするような政治では、対話や議論は成り立たない。忘却の政治の先には、亡国の道がありはしないか▼茶番劇を、しっかりと記憶に刻む。それは「有用な知識」になるに違いない。
 (私の)ガラクタだらけの頭の中では、なぜ、岸田首相がまだ盛山氏を文科相にしているのか、理解できない。大事な選挙の支援を受けるために政策協定を結んだことを忘れるようなお人を大事にいしておくのか。何を守ろとしているのか。大体、政策協定を結んでいる組織を判定できたのか。わが身を守るために仲間を守り、組織を守る。彼は国民を忘れられているのではないか。
*画像は24年2月8日の朝日新聞および日本経済新聞より。