ゴジラが現れる 231103

 ゴジラ生誕70年記念作に『日報抄(231030新潟日報)』は思う▼映画監督の樋口真嗣さんの「シン・ゴジラ」(2016年)、元々はゴジラの監督をしたいとは思っていなかったが、「ゴジラにかけられた呪い」▼1954年の第1作のゴジラは水爆実験によって生まれた設定。核のイメージは、新たな作品を創作する表現者にとって、呪いのように窮屈な存在▼樋口さんは東京電力福島第1原発事故後の社会を鋭く描く▼今回の舞台は終戦から間もない東京▼ゴジラが現れる焼け野原、ウクライナパレスチナ自治区ガザの荒廃した姿と重ね合わせる人もいるかもしれない▼第1作のラストシーン。人間が核兵器を手放さないなら第2、第3のゴジラが現れる-と。呪いは解けないとしたらゴジラが自由になる日は遠い。
 (私は)初代ゴジラの誕生とともに年を重ねている。「ゴジラ」は老けることなく、常に何かに怒っているのか。「ゴジラ」は誰の味方でもないし、味方もいない。何かに闘っている▼「コチラ」は老けて行き、分別なく怒っているが、闘っていない。「コチラ」はあの闘う心を失ってしまったのか。平和と自由を失って行く人々へ「コチラ」は何かできないのか。