見ざる聞かざる 230912

 肝心要の場所は見ず、聴くべき人とは会わない岸田文雄首相に『雷鳴抄(230906下野新聞)』は思う▼沖縄のバスケットボール男子ワールドカップの日本対ドイツ戦。首相は試合前のイベントに登場した▼1泊2日の沖縄。首里城正殿の復元工事も視察。だが、米軍普天間飛行場と、辺野古を見なかった。玉城デニー沖縄県知事と会わなかった▼かつて普天間移設を決めた当時の橋本龍太郎首相は沖縄に足を運び、地元関係者と話し合った▼福島第1原発の処理水放出を巡る経緯とも重なる▼「聞く耳」を自負しながら、肝心要の場所は見ず、聴くべき人とは会わない。バスケットボールを投げ上げる笑顔からは、責任を担う緊迫感は感じられなかった。
 (私は)思う。せっかく沖縄に行ったのに、何をしてきたのか▼「聞く耳」を活かす機会であったろうに、側近たちは何をやっているのか。問題に入り込んで行く。歓迎されない場こそ、聞くべきところである▼内閣や党の人事を変えようと、見ざる聞かざるでは変わりようがない。本当に耳を傾けよう。