『労働者が死と隷従に追いやられるのを防ぐ。そのため・・・』

『労働者が死と隷従に追いやられるのを防ぐ。そのための強力な法律を――。マルクスの訴え、悔しいことに、少しも古びてはいない』<2017年7月23日(日)>
 『資本論』が出版されて150年になる。その時、マルクスが記した英国の状況と、今の日本の状況が同じようではないかと『天声人語』(170723)は記す。マルクス長時間労働の現状について、第8章の「労働日」を読んでくれと述べたと。「わたしたちも普通の人間です。超人ではありません。労働時間が長くなるとある時点で働けなくなるのです……頭は考えるのをやめ、目は見るのをやめるのです」。これを「読んでいくと、本当に19世紀の記述なのかという気がしてくる。残業時間を規制するため法改正の動きはあるが、どうも様子がおかしい。『残業代ゼロ』法案を通そうという流れが同時にあり、将来、規制の抜け道に使われるのではと危惧される。対応をめぐって連合内部で意見が割れ、労働界は大揺れである」。
 (JN) 『資本論』に初めて挑戦したのはいつの頃であったか。私は22歳を過ぎてから試みた。第1巻の分厚さ、とにかく前に進む、わからなくていい。ある程度の経済学を学んであったが、初めからわからなかった。「商品と貨幣」、何言ってんだろう。時間はかかるし、全体の把握もできない。しかし、部分部分、日本が文明開化を迎える前の英国の現状が、今の日本の現状を予測していたのかと。資本主義の力強さを世に知らしめる本であった。そう考えたのは、40年ほど前であったか。資本主義や株式会社は、恐慌や倒産になってもまた蘇る。でも人間はそうはいかない。心身を潰されてしまうと、その回復には時間がかかり、商品価値はなくなってしまう。人の労働力は一個の商品であり、労働力は裸の人間が売れる唯一の商品である。これを150年前に分析されているのに、未だに問題を抱えている。しかも、せっかくの労働者の権利を奪おうとしている。とにかく日本人は働いている時間が多い。その改善のために、私たちは真剣に取り組むべきである。日本の労働力の価値向上が私たちの任務である。