『鴨長明は「方丈記」に、平安京を襲った大火のありさまを・・・』

<2016年12月28日(水)>
鴨長明は「方丈記」に、平安京を襲った大火のありさまを生々しく描いている』
 「『飛ぶ炎』の目撃証言が少なくない」。「春秋」(161228)は、糸魚川市の大火から、「方丈記」の記録を思い起こす。「1177年4月、強風すさぶ夜の記録だ。炎は建物を次から次へとのみ込んでいくだけでなく、風に乗って『飛ぶ』。そこに住むのは生身の人間だから、あれこれ対策は練られていても簡単には進まない。『方丈記』はその前半が当時のさまざまな災害のルポであり、作者が無常観を深めていく背景をなす。800年余を経た現代の社会が、よもやそんな諦念を抱いてはなるまい。」
 木とともに生きる私たち、火災には十分に気を付けているが、正に火の粉がどこからか飛んでくる。狭い国土の中で、犇めき合いながら暮らしている。そんな環境が鴨長明の時代から変わっていない。それが日本なのかもしれないが、悲惨な経験を繰り返すことはあってはならないはずだ。私たちは他人ごとではなく、わが身に起こりうる身近なことと捉えて、公に頼るだけでなく、個々の地域に住む者がそれぞれに惨事を想定し行かねばならない。(JN)