『妖怪と一緒に、私たちは自然との絆を失ってきた。・・・』

<2016年11月20日(日)>
『妖怪と一緒に、私たちは自然との絆を失ってきた。その重さを改めて思う』
 「今年度の文化功労者になった民俗学者小松和彦さんは、妖怪文化の研究を通じて人間のあり方を考えてきた」。「天声人語」(161120)は小松さんに妖怪の世界を教わる。「人間は、自分が制御できないところに妖怪が徘徊する姿を想像した。妖怪の伝承が激減したのが高度成長期だった。妖怪は漫画や小説ではいまも人気だ。『妖怪を通じて、失われたものを考えたいとの思いがある』と小松さんはみる。妖怪と一緒に、私たちは自然との絆を失ってきた。その重さを改めて思う。」
 それぞれの地域で昔話の中に妖怪や摩訶不思議な話が出てくる。なぜ、そのような妖怪がいたのか、今では私たちの住むところは似たり寄ったりの居場所となってしまい、想像するのが困難となっている。コンクリートに囲まれ、土を踏むことがなくなった。動物との出会いは、ペットたちである。その土地に住んでいる人間も、高度成長期の日本人大移動で、変わってしまったか、居なくなってしまった。今住んでいるところが、どんなところであるかもわからず生活する中で、自然現象の思わぬ抵抗にあったりする。それがなんであるか、その土地の妖怪に聴かねばならない。(JN)