『原発の災禍さえなかったら、きょうもあの校舎で高校生たち・・・』

原発の災禍さえなかったら、きょうもあの校舎で高校生たちが勉強や部活、恋愛を謳歌するはずだった』

 「夏の甲子園に3回も出場した東北の古豪が今月、90年余の野球部史に幕を下ろした」。「天声人語」(朝日/16/7/15)は、福島県立双葉高校の来春の休校とその野球部の卒業生の思いを伝える。「地域経済の中心だった原発の災禍さえなかったら、きょうもあの校舎で高校生たちが勉強や部活、恋愛を謳歌するはずだった。『FUTABA』のユニホームを守りたい。OBたちは昨年末、チームを組んだ。元球児の祭典マスターズ甲子園を目指し練習に励む。最後の後輩たちのプレーに勇気をもらった先輩たち。伝統をまだ見ぬ未来へつないでいく。」

 学校は人口の変化とともに統廃合するので、母校が無くなる者は多い。当方も高等学校が中等教育学校になってしまい、嘗ての校名はない。これは、仕方ないことであるが、原発の被害により、人口減少が生じて高校が無くなるというのはなんとも無念である。しかも故郷も奪われるというこの現実をどう思うべきか。福島県立双葉高等学校のこの過去を、卒業生たちは心にどう納めて行くのであろうか。気持ちは治まりきらないだろう。納めて終わったならはならない。この現実を私たちは忘れることなく、未来に伝えて行かねばならない。(JN)