『すべての人が考えるべき抵抗だった……』

『すべての人が考えるべき抵抗だった……自由とは自分の信念を守ることができるということだ』
 「74歳で亡くなったモハメド・アリ氏は、間違いなくアメリカの英雄であった。」「天声人語」(朝日/16/6/5)はアリを称える。「ベトナム戦争に反対して徴兵を拒否し、王座を剥奪された。人びとが無益に死んでいくのが耐えられなかった、と後に語っている。『すべての人が考えるべき抵抗だった……自由とは自分の信念を守ることができるということだ』。アリ氏はかつて、試合相手をこきおろす弁舌で知られた。それは社会や政治にも向けられた。もう一つの重く鋭いパンチを、アメリカはどれだけ真摯に受け止めてきただろうか。」
 寝技の猪木と飛び跳ねるアリ、なんとも言えない一戦が、私の見たリング上のアリの最後であったか。ファイトは、リングの上だけではなかった。自分の得たステータスを失おうと、やることをやった。人種差別問題、ベトナム戦争等への行動は簡単にはできない。これがヘビー級とは思えないスタイルと同様に、私たちの目を引いた。いろいろと試みた。ただのスポーツチャンピオンではなかった。突っ張りとおした人生、疲れたでしょう。モハメド・アリ、安らかに眠り賜え。(JN)