『理性、判断力はゆっくりと歩いてくるが、偏見は群れを・・・』

『理性、判断力はゆっくりと歩いてくるが、偏見は群れをなして走ってくる』
 「今は、人を傷つける罪なデマやうわさばかり、世の中におびただしい」と「天声人語」(朝日/2016/2/6)。これへの対策として、「スペイン・バルセロナの『反うわさ戦略』」を紹介する。「移民のせいで医療費が膨らむ。言葉を学ぼうとしない――。あれこれ流布するうわさを集めては、反証データをそろえる。確かな情報でゆがみを正していく試みで、誤解が生む悪感情はだいぶ減ったという。〈いくつもの人のこころを経由してうつくしからぬ噂とどきぬ〉。歌人松村正直さんの歌は、ネット時代に重なって不気味さを帯びる。人の心を渡って伝播する速さは、口伝えの頃の比ではない。『理性、判断力はゆっくりと歩いてくるが、偏見は群れをなして走ってくる』。古人の言葉を、今こそかみしめる時だろう。」
 難民たちに、デマを飛ばす。偏見を作り出す。そんなに今の生活が良く、その生活が難民によって壊されるのか。その前に、私たちがその難民たちの生活を崩したから難民になっているのではないか。なぜに他人を貶めるようなことをしてしまうのか。自分の都合の良いサークルを作り、不都合な弱いものを排除する。そのために、そのサークルの中でまたサークルを作り、弱いものを排除して行く。とにかく、そういった行為をしてしまう。一般的に人間は、そういうことが好きなのだろうか。また、人の悪口は確かめもせずに信じてしまう。それがまた、伝わって行く中でさらに悪化して行く。価値観はそれぞれに違う人間の世界で、同じになろうというのではなく、違いを理解し協働できる世界を考えるようになれないのであろうか。(JN)