『大人から見ても魅力的な授業? 「せんせいたべちゃった」』

『大人から見ても魅力的な授業? 「せんせいたべちゃった」』
 ある内気な少女が詩の朗読をきっかけに「積極的に発言し、おしゃべりもする」ようになったと、「筆洗」(東京新聞/2016/1/26)は、暖かい話を伝えてきた。「ある日、こんな宿題が出た。『自分の気に入った詩を見つけて、みんなの前で朗読しよう』。小学四年生の内気な女の子が見つけた。ねじめさんの『せんせいたべちゃった』。<じゅぎょうちゅう/おなかすいちゃって/きゅうしょくまで/がまんできなくて>、ちょーく、きょうかしょ、らんどせるをたべちゃう。最後は『せんせいたべちゃった』。女の子はみんなの前で読み上げた。大きな笑いが起こった。以来、女の子は変わったそうだ。」
 変わるにはきっかけが必要だ。ちょっとしたことで、自分に自信が持てるようになるし、逆もある。子どもであろうと、大人であろうと同じだ。さて、自分のことを思い出してみると、やはり人前での行動において、それがどうであったかである。子どものころのことは忘れてしまったが、二十歳過ぎの教育実習での担当教員や生徒たちが自分を変えてくれたかもしれない。先生はほとんど授業をお任せにしているようだが、どこかしらで覗いていて、褒めてくれるのだ。もちろん、得意の研究分野へは厳しい指摘もする。子供たちは、汚い板書に「先生の字には味がある」と煽てる。ありがたいものである。また、就職したてのころの上司は上手であった。新人でのガイダンスをそっと覗いていたようで、「お前はうまい」と褒める。相手も準備してくれていた。聞いていた学生たちは、ベテラン学生で解釈が上手、そういった「ぴかっと光る」きっかけを人々は作ってくれたのか。私たちは、きっかけを作るチャンスを持っている。(JN)