『みんな、「戦さになってしまって」とか、「戦さが起ってしまって」

『みんな、「戦さになってしまって」とか、「戦さが起ってしまって」とか云(い)ってるよ』
 「折々のことば:281」(鷲田清一/朝日/2016/1/15)、「戦後何年経っても、『私が戦争をはじめました』と認める人はついにいなかったと作家は言う。気がつけばそんなことになっていた、というのが誰も彼もの言い草だった。『した』ことがいつのまにか『なった』ことへとずらされてしまう。進んで責任を負おうとしないこの習性は、政治家や官僚という以上に、彼らに任せきった私たちのものだ。」(戯曲「花よりタンゴ」から)
 「知らぬ間に、起きてしまった」。理由にならない言い訳を「知らぬ間に」使っている。なんとも情け無いが、現実はそんなものである。でも、責任ある立場の人間は、そうであっても、「知らぬ間に」と言ってはならない。否、誰もがそうであっても、起こしてしまった人間がいるから、その現実がある。それに気が付かなかった私が悪い。気が付いていたのに何もしない私は無責任である。井上ひさし氏の考えからは外れるが、戦争が良い悪いは別として、「また戦さが起きてしまっていた」などと今後言いたくない。でも悪役にはなりたくないね。(JN)