『見えない基礎を間違えれば使い続けることは難しい建築物』

『見えない基礎を間違えれば使い続けることは難しい建築物』
 今回の横浜のマンションの傾きについて、日経「春秋」(2015/10/19付)は、フランク・ロイド・ライトが設計を手がけた帝国ホテルを思い出す。「ライトはいくつかの建物を船のように軟弱な地盤に浮かべ、間をうまくつなぎ1つの大きな建物に見せる特殊な工法を採用。杭を深く打ち込むより工期は短く、費用も安く済んだ。これが結果的に誤算だった。竣工間もない関東大震災で、まず重い宴会場が沈み始める。その後40年余、場所場所がまちまちに沈む『不同沈下』が進み、取り壊しとなる。」
 他人事ではない。自分の住む住宅も、これとはまた異なる何かがあるのかもしれないと思ってしまう。大手業者のその名を信じ、高い金額を支払う住宅という買い物は、簡単に買い替えもできない。慣れた土地を離れるというのもつらい。地震多き国で、地盤の緩いところに基礎をきちんとしなければ、そこに乗っている箱は何れ動く事はだれでもわかることである。それを書類上の改ざんで耐えられるわけがない。これは一個人のやったことであろうと、組織のあり方に問題があろう。造った建物が如何に住み心地良く安全に長く使ってもらえるように、という考えが組織自体に欠けているのではないかと、思いたくなる。(JN)