『受験生には苦しい勉強を続けてきた誇りもなかったらしい』

『受験生には苦しい勉強を続けてきた誇りもなかったらしい』
 司法試験問題漏洩、日経「春秋」(2015/9/10付)は、その教授について、「法のプロの自覚が薄いのにあきれる」と。
 「いても立ってもいられない。酒を飲んで待っていると、吉報を伝える使者が訪れた。なんと、まだ受けていない中央の試験も突破して高級官僚への採用が決まったという。杯を重ね、大騒ぎしていたら、妻に怒られて、夢から覚めた。中国清朝文人蒲松齢の『聊斎志異』にある名士の話である。科挙、7つの試験に及第しないと資格が取れない当時の登用制度だ。科挙では替え玉や賄賂なども横行したが、蒲松齢は不正を鋭く批判しており誘惑に負けなかったようだ。首席のプライド、自信もあったからだろう。科挙ほどではないが、司法試験も超難関といわれる。その問題漏洩が見つかり、東京地検が捜査を始めた。高得点が得られるように、問題作成・採点に関わった教授が事前に教え子を指導した疑いという。法のプロの自覚が薄いのにあきれる。受験生には苦しい勉強を続けてきた誇りもなかったらしい。なにより夢がない。」
 なぜに教授は、この女子学生に情報を与えたのか。その行動は、何が目的であったのか。教授の心は、どのように揺れていたのであろうか。穿鑿したくなるこの二人の関係は如何に。しかし、どんなに愛していようが、司法試験を実力で合格させないのは重大な犯罪である。司法試験を合格さえすれば良いという仕事ではない。これは、他の資格でも同じである。私たちの社会生活をゆだねるものをこのようなことで、安易に合格をさせてなるものか。法とは何であろうか。勝手な解釈をしていいという為政者もいるが、罷りならない違反である。もう、彼女のところにミネルヴァのフクロウはやってこない。(JN)