『戦後本格的に花開いたミステリーの活況を誇りたい』

『戦後本格的に花開いたミステリーの活況を誇りたい』
 江戸川乱歩、「昨年は生誕120年、今年が没後50年。つい先日、7月28日が命日だった」。彼が生み出してきた推理小説、日経「春秋」(2015/8/3付)は、それが「盛んな国には特徴が2つある。理の重視と人権意識の浸透だ。独裁者や公権力が問答無用で怪しげなやつを捕らえ、拷問で『自白』させる社会に名探偵の出番はない。乱歩が種をまき、戦後本格的に花開いたミステリーの活況を誇りたい。」
 「独裁者や公権力が問答無用で怪しげなやつを捕らえ、拷問で「自白」させる社会に名探偵の出番はない」。日本は、どうなのであろうか。時々起る警察のやり過ぎ、ポイント稼ぎが正義を疎かにする。独裁者はいないが、独裁的に国会を運営しようとする。軍事国家から開放されて70年、我々はそのありがたみを忘れていしまいそうであったが、現在の強引な政権で少し目が覚めたろうか。それとも、これに慣らされた大方の庶民は、独裁的安定性の虜になっていくのであろうか。そうなれば、日本には名探偵がもう出てこないのか。それとも、更なる推理小説ブームがやって来るのであろうか。