『日本では、受刑者を出所させるのに苦労している』

『日本では、受刑者を出所させるのに苦労している』
 高齢化社会の中、塀の中で高齢者問題を、日経「春秋」(2015/7/19付)は、「塀の外より塀の中の方が居心地がいいと感じる高齢者が少なくないという現実には、いささか落ち着かない気分を覚えてしまう」と。通常、塀の中は居心地悪く出たいはずである。「刑期を終えて塀の外に出たのに、すぐ罪を犯して戻ってくる人が結構いると。特に目立つのは、世間に親しい身寄りも友人もなく、なりわいや身の置き所を見つけられない高齢の受刑者だそうだ。」
 高齢受刑者が態々、塀の中に戻るために、罪を繰り返す。塀の中より外の方が過ごしやすい筈がないと考える。しかし、現実のこの現象は隠しようがない事実である。他人とのつながりが年齢を重ねるとともに希薄になるというこの問題が、どうなってしまうのか。これから高齢者の人口が増えて、マイナーからメジャーになる。年寄り同士のつながりも、若い世代とのつながりも、希薄になって行くと、日本全体の人のつながりが希薄になってしまうのか。これから高齢者数自体が多くなると、一部の問題ではなく一般化する。これに対して、居心地の良いところをどこに求めたらよいのか。塀の中に入る高齢者が増えるということを良しとして、刑務所を高齢者の過ごしやすい環境にすべきなのか。これは高齢者問題ではなく、日本としての社会全体の問題である。日本の社会がこのままでは、そうなりそうだ。