かの国のざわめきと無縁ではない古書店街

かの国のざわめきと無縁ではない古書店
 最近、古本街に中国人客が目立っていることに、日経「春秋」(2015/7/8付)は、「すわバブル崩壊か、と案じられる上海株の行方も二重写しになり、かの国のざわめきと無縁ではない古書店街なのだ」と、そして嘗て「清国の留学生会館が近くにあったし、魯迅孫文周恩来もこのあたりで過ごした。すでに開業していた多くの書店はそういう若者に糧を与えたに違いない。転売やら投資やらとは距離を置き、ただ古書を愛(め)でてやまぬ遊客も多かろうと思い直してみる」と。
 当方、学生時代は、教科書を安く買うために、平積みの山を見て回った。サミュエルソンのあの分厚い上下を如何に安く手に入れるか。薄いのに何でこんなに高いのかという本、若いころは気力があり、歩き回った。このように、古書店は、目的を持って行く場合もあるが、背表紙を見て回り、そこでの思わぬ出会いも楽しい。最近は、いくつものお店が集まっての古本市が行われるので、それも楽しみにしている。そんな古本市にも、そのうち、中国の方々がごっそりと買い込んでいくようなこと出てくるのであろうか。古本散歩を邪魔さえされなければ良いのだが、数名でけんか腰で騒ぎながら来られたは迷惑である。ただ儲けようと、値段の高い本を購入して行くことは反対である。本の価値は値段ではなく、その読む人に喜びと苦しみを与えるところにある。(JN)