箱根山、人間が一丸となって荒ぶる自然とどう向き合うか

箱根山、人間が一丸となって荒ぶる自然とどう向き合うか
(日経「春秋」2015/5/8付) 獅子文六の「箱根山」は、産業史に残る「箱根山戦争」であった。西武グループ小田急東急グループが繰り広げたこの観光開発の角逐は、まさしく仁義なき戦いだった。抗争がとめどもなく続いたのは、箱根という土地の魅力ゆえに違いない。温泉あり、高原あり、湖水あり。観光地の見本みたいなそんな場所が、いま新たな緊張に包まれている。箱根山の火山活動が活発化し、大涌谷周辺に避難指示が出た。危険なのはごく一部というが、ホテルのキャンセルなどは箱根全体に広がりかねない。噴火への警戒と風評被害への対処と、地元の焦慮は募る一方だろう。ふだんは恩恵にばかり目がいくが、昨年の御嶽山噴火の例もあるから油断はできまい。かつての箱根山戦争はすっかり終息し、相争った両者が手を携える昨今である。こんどは人間が一丸となって荒ぶる自然とどう向き合うか。きっと試されていよう。
(JN) 箱根、大好きである。自宅から直ぐに行ける。自然や温泉がきれい。ロマンスカー、登山鉄道、ロープーウェー、船には乗れる。歴史あり、西洋の味が楽しめ、勿論、饅頭があり、温泉卵は真っ黒だ。毎年のように、当たり前に行っている箱根が立ち入り禁止になったら悲しいことであろう。幸い今のところは、大涌谷付近だけのようであるが、庶民は愚かにも箱根と言うところが全部危ないと思ってしまう。福島第一原発で、日本は放射能だらけと思うのと同じである。この自然の恩恵はまた、不機嫌になれば、いや上機嫌にあれば爆発の可能性もある。私たちには、自然のその力が、そのご機嫌がどのようになっているのか、まだ無知である。この対応に我々は、その活動を抑え込むことはできない。その大事な資源を如何に守ることができるのか、大事なものが何であるのかを間違えずに、対応をして行きたいものである。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO86501860Y5A500C1MM8000/