突拍子もない事件に驚き、前のめりの議論を進めるのは禁物

(日経「春秋」2015/2/1付) 「少年事件が増えている」「しかも凶悪化するばかり」「昔はなかった残忍な犯行だ」。テレビのワイドショーやネット空間にはこういう声がほとばしる。名古屋大の女子学生が知人女性を殺した疑いで逮捕された事件をめぐっても、目立つのはやはりこんな反応だ。しかし、警察庁の統計や犯罪史が教える事実だ。少年による殺人は1960年前後に400件以上、それがこの数年は50件前後というデータが厳としてある。もちろん人口減も作用しているし、数が少なくなったからいいというわけではない。しかしたまに起きる突拍子もない事件に驚き、前のめりの議論を進めるのは禁物だ。新たな対策や少年法見直しを考えるにせよ、まずは過去を正しくかえりみる必要があろう。「昔はよかった」式の思い込みが、しばしば道を見失わせる。
(JN) 私たちは、その衝撃に対して反応をする。そして、それを繰り返す。今は、ネットのおかげで誰でも世間にオープンにアッピールできる。それに対してまた反応をする。しかし、私たちは犯罪に対して、面白半分で反応してはならない。大人であろうと、子どもであろうと、理由の有無にかかわらず暴力行為許してはならない。このような行為に対し、冷静に見守ることであり、騒いではならないのであろう。なぜ、このような暴力行為を行ったのか、そのような行為を行うに至った背景にどんな歪みががあり、その歪みはなぜ起きたのか、一つ一つ我々の心の中で考えたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO82662050R00C15A2MM8000/