テロリスト、遠く離れた「日本国民に告ぐ」

(日経「春秋」2015/1/22付) 38年前の衝撃。日本赤軍日航機を乗っ取り、刑務所にいる仲間の釈放と身代金を要求したダッカ事件。「イスラム国」とみられるグループの蛮行で、政府は緊迫した雰囲気に包まれている。犯人側の要求をのんだダッカ事件で、日本は「持参金まで渡してテロリストを野に放った」という批判を国際社会から浴びた。「1万人を脅すために1人を殺せ」。テロの世界には、こんなおぞましい言い回しがある。今では、テロリストは1万人どころか、遠く離れた1億人だって直接脅せる。まさに「日本国民に告ぐ」とあった。矛先は私たち全員に向けられている。ぎりぎりまで細い糸をたどり、解決の道を探るしかない。脅される側として改めて心したいのは、イスラムのほとんどの人がテロとは無縁であるという当たり前の事実だ。いたずらに反感や憎しみを強めては、むしろ相手の思うつぼであろう。
(JN) あの38年前、「超法規的措置」と当時の首相は、テロリストの要求を呑んだ。このような卑怯で残忍な相手に対する対応は困難を極める。どのような方法を取ろうと、何かの犠牲が生じる。その犠牲が、今、そして未来に対してどんな影響があるのか。地域的にも、世界中に影響が生ずるのか。時間がもう少ない中で、表裏で何が進行しているのであろうか。我々、個々の国民は、目に見える人の命の継続を祈るばかりであるが、国としては最小限の犠牲をどう捉えるかのなのであろうか。38年前の首相は「一人の生命は地球より重い」としたが、今の首相は何を一番に考え、そのためのにどんな方法を取るのか。間違っても、人命より自分のパフォーマンスを優先することはないであろう。対応は、国に任すしかないのであるが、私はこの二人の家族の身になり、二人の人質を助ける最善の対策を考えよう。また今後のこようなことが生じないための対応を考えたい。また敵対し合う国民同士の将来の連帯を考えたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO82231940S5A120C1MM8000/