小さな木の実がなんとも大きな騒ぎを引き起こしたわけだが

(日経「春秋」2014/12/21付) 韓国でマカデミアナッツの売り上げが急増しているそうだ。「ナッツリターン騒動」のそのナッツがマカデミア、ということでにわかに世の好奇心がうずいているらしい。その航空会社はナッツ航空、ナッツ航空を傘下に置く財閥令嬢のご当人はナッツ姫……と。たくましい諧謔の根っこには、親の七光で専横をきわめる者への古今東西共通のうっぷんがあろう。副社長職などを退いた彼女だが検察の捜査を受け、会社も運航停止処分か課徴金を科されそうだという。小さな木の実がなんとも大きな騒ぎを引き起こしたわけだが、それでもメディアが怒り、人々がパロディー精神を発揮し、面白がってナッツを買いに走るなどというのはまだ健全な社会ではある。思えば北緯38度線の向こう、3代目の統べる国では闇から闇へのナッツリターン事件がきっとたくさん起きていることだろう。
(JN) 趙顕娥は12月5日、何か気にくわないことがそれまでにあったのであろうか。それとも、姫様は、ナッツの袋を開けることもできなあかったのか。それはともかく、権力を持っている者は、その自分のあるべき姿を充分に考えて、自分の力を発揮したいものである。ナッツ姫の御乱心に、韓国では、父親が謝罪したり、社会的制裁もあれば、ナッツ流行にもなる。日本はどうだろう、姫の失敗にある町長が責任を取ったり、衆議院解散で禊になったり、そしてまんまと再選されているが、これはどういうことなのだろうか。今後は、お祝いに写真入りのマデミア・ナッツのチョコレートでもいただけるかもしれない。否、ハードディスクの上手な壊し方マニュアルでもいただけるか。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO81178570R21C14A2MM8000/