マレーシア産黒コショウの国際価格、前年比4割高

(日経「春秋」2014/5/25付) ラーメンにいきなりコショウを振りかけるかどうか――。ある店の店主に聞くと「かける派」「かけない派」はほぼ半々らしい。この香辛料の品不足が続き、取引価格が高騰している。今年のマレーシア産黒コショウの国際価格は前年同期に比べ4割ほども高い。いずれ末端商品にも影響が及びかねないそうだ。背景のひとつは中国でのカップ麺の普及だという。スープの味をピリリと決める一振りも、積もり積もれば膨大な需要となる。コショウは、中世ヨーロッパでは金銀財宝のごとく扱われ、やがて大航海時代になると、あの刺激を求めて野心家たちが荒波をこえた。コショウの木は植えてから実がなるまでに4〜5年もかかるという。そんなことにも思いをいたして、このさい使いすぎは自粛するとしよう。そこのお客さん、ひとり耳かき1杯かぎりだよ! なんて事態を招かないように。
(JN) 現在のラーメンは、コショウなどかけなくとも、そのままで美味しい筈だが、スパイスの香しい魅力に引き寄せられてかけてしまう。前年比4割高とは、ラーメン屋さんカウンターやテーブルから、コショウが消えてしまうか、ふりかけ口の穴が少なくなるのか。中国の消費拡大は、様々なところに影響を与えているものだ。ラー油や山椒は、どうなのだろうか。心配しても仕方ない。まずは、贅沢に香料が使えるこの時代に生まれたことに感謝し、コショウをちょっとずつかけてラーメンなどを味わいましょう。それとも、このコショウの価値が上がっていくならば、これでちょっと儲けられないかな。いやいや、素人は辛い目に。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO71758620V20C14A5MM8000/