この改革で中国は安定成長できるのか

(日経「社説」2014/3/6付) 全国人民代表大会全人代)が開幕し、李克強首相が施政方針演説を行った。今年の実質成長率の目標を前年と同じ7.5%前後とし、構造改革によって安定成長を保つ姿勢を鮮明にした。短期的な景気対策に頼らないで安定成長を維持するエンジンとして、首相は構造改革の必要性を繰り返し強調した。首相は「各レベルの政府の予算と決算はすべて公開しなければならない」と言明した。「影の銀行」問題の打開策そのものは具体的でなく、不安の払拭には遠い。人民元レートは「双方向への変動幅を拡大する」方針を示した。2014年の予算案では、国防費に前年実績比12.2%増の8082億3千万元(約13兆4400億円)を計上した。4年連続の2ケタ増で、総額は過去最高だ。全人代の冒頭、出席者は1日夜に雲南省昆明市で起きた無差別テロ事件の犠牲者を哀悼した。首相は「共産党の政策の貫徹」を繰り返すにとどまった。経済発展の前提である社会の安定を保つための改革は、心もとない。
(JN) 独裁政党が仕切る全人代は、痛みを伴う改革を行うことは難しい。眠れる獅子は、懐が深いので、様々な矛盾が埋まっていたも、苦しむのは一般の貧しい人民であり、格差、公害、賄賂、金融インフラの不備、民族問題、水増しの経済数値などお構いなしでも、支配者層は豊かでいられる。だから、改革と言っているだけで、する必要はないのであろう。一般人民には、目先を変えるために外に敵を作り出し、また軍事力を強化して近隣の弱小国を脅すことが大事なのである。資本の使い方が共産党員のためであり、人民のためではないこの国には、所得の再分配方法を改善しようなどという社会主義的な考えはないのであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO67828450W4A300C1EA1000/