リスクがあっても創意と工夫で乗り越えるのが経営だ

(日経「春秋」2014/1/30付) 大阪府門真市にはパナソニックの本社や工場とともに、松下幸之助歴史館がある。屋上には当時の様子をよみがえらせる船のカジを操る丸い舵輪(だりん)ある。解体された船から松下氏が見つけて買い取ってきた。「会社を船にたとえるなら、本店は指令室にあたる。ここで会社のかじ取りをしていくのだ」。そのとき松下氏は38歳。もっと会社を成長させるんだという決意を、壮年の経営者は舵輪に込めたのだろう。企業の倒産が相次いだ昭和恐慌の記憶がさめやらぬなかで、7万平方メートルもの広大な土地を買収し、いくつも工場を建てるという計画は、ほかの企業から無鉄砲な経営ともいわれた。しかし、「経営の神様」にすれば、リスクがあっても創意と工夫で乗り越えるのが経営だと、思っていたに違いない。いまの経営者も世界経済の先行きが見通しにくいなか、会社をかじ取りする力量が問われている。困難に立ち向かうときこそ知恵も出てくるようだ。
(JN) 偉大なる「経営の神様」松下幸之助氏の真似はできないが、経済の基本は不況の時にこそチャンスがある。特に、小さなところが伸びて行くためには、リスクを背負わねば大きくなることはできない。恐慌論を使わせてもらえば、好況時は量的拡大であり強いところがより拡大していく。これが不況に陥れば質的転換を要求され、その要求を満たせたところが拡大をして行くのである。好況時には経営の手腕はなくとも拡大するが、不況時にリスクを背負ってその質的転換のためにいかなるかじ取りをするのか。これは企業だけではないのであろう。政治も困難に立ち向かう知恵を出して欲しい。でも、リスクと言っても、ただ信念を押し通したり、応援票を気にしたりするのではなく、創意と工夫をお願いします。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO66088350Q4A130C1MM8000/