「青天白日満地紅旗」

(日経「春秋」2013/12/29付) 易幟(えきし)、日本と中国の近代史を語る際は、ただ一つの出来事を指す。1928年12月29日。85年前の、きょうのことだ。張学良将軍が、それまでと違う「青天白日満地紅旗」を掲げた事件。青天白日旗とも略称されるこの旗は、全中国の統一を目指し蒋介石が率いていた国民政府の象徴だった。易幟の結果、事実上の独立を保っていた東北地方が国民政府の傘下に入り、統一が形の上では整ったとされる。張作霖を日本軍が謀殺したことが、易幟の一因。ところが日経の前身である「中外商業新報」は翌日、日本政府の反応について次のように報じている。「外務当局すこぶる楽観」。しかし日本の国際的な立場はその後、坂道を転げ落ちるように悪くなっていった。失敗や挫折、過ちを認める勇気の大切さを、歴史の中から改めてくみ取りたい。
(JN) 時の流れはそこの中で流されている凡人にはわからず、やがておぼれていく。私たちはいまどのよう流れにのってどのような方向に流されて沈んでいくのか、それとも流れに乗って生きのびられるのか。易幟、1928年12月29日の歴史的意味を感じよう。世は無常ではあるはずなのに、人の愚かさは繰り返される。この流れの中で指導者が己を美しく見せることに気を取られ、時を逸する。満鉄の遺伝子を持つ首相には美しさより実を取って欲しいものである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO64746540Z21C13A2MM8000/