本当の学力とは何だろう

(日経「社説」2013/12/8付) 3年に1度、子どもの学力をめぐる議論が盛り上がる。経済協力開発機構OECD)による学習到達度調査(PISA)だ。昨年実施された調査には世界65カ国・地域の15歳の生徒約51万人が参加した。日本は読解力と科学的応用力が4位、数学的応用力が7位といずれも前回2009年の調査より順位を上げた。PISAは従来の学力テストと違って、知識よりも実生活に役立つ応用力を問う傾向が強い。OECDがこのテストを導入した00年以降、多くの国で「PISA型」の学力増強が教育の重要テーマとなっている。しかし、PISAを万能視するのは禁物だ。このテストで把握できるのはあくまで学力の一部であり、全体像ではない。今回、中国・上海は3分野とも突出して1位である。日本としてもこうした好成績の要因に注目する必要はあるが、順位ばかりを意識した過剰な点取り競争とは距離を置きたい。子どもには、テストでは測れない多様な能力が潜んでいる。重要な学力指標としてPISAを活用しつつ、これに振り回されぬ度量が教育界には求められよう。
(JN) PISA、各地域の教育委員会は上海に負けないよう、それぞれの地域で子供たちの力を伸ばして欲しい。PISAで上海が3分野とも突出して1位というのは、それだけ有能が子供たちが多くいるのであろうが、対象とすべき者が適切に受けているのか勘繰ってしまう。それはそれとして、応用力が有るかを試すこの調査は一つの目安として、気にして行くべきであろう。但し、この試験の成績をよくするための訓練にならないよう、私たちは子供たちの発達に何を求めるかをそれぞれの地域で考え、鍛えてほしい。これをまた、国全体が同一のことをやろうなどとすると、金太郎飴国家になってしまう。各地域がそれぞれに努力をして、日本のレベルを上げて行こう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO63770080Y3A201C1PE8000/