安心で高品質な農産物に需要があるのは間違いない

(日経「春秋」2013/6/27付) 好きな食べ物は何? 都会の子供たちにそう聞くと、ハンバーグやカレーライスなど料理の名前が返ってくる。ところが身近に生鮮品が採れる地方は違う。トウモロコシ、ジャガイモ、アスパラガスと、料理ではなく野菜の名が次々とあがる。調理して味つけする前の、おいしい野菜の味を知っているからだろう。先入観がない子供の舌は正直である。香川県に「ムムム農場」という一風変わった農園がある。有機栽培のさらに上をゆき、化学肥料、農薬、畜産廃棄物を使わない。3つの無だからこんな名がついた。手間がかかるので値段は2倍近いが、その豊かな野菜の味に誰もが驚く。経営者は土建会社の社長と日銀の元高松支店長の異色コンビである。都市部を中心にどんどん売れるというから、安心で高品質な農産物に需要があるのは間違いない。貿易自由化の嵐の中で、たくましく実る日本の農業もある。
(JN) あの畑で取れたばかりの野菜の味、調理していない、畑で熟した作物の味を知る者は、それを忘れられないであろう。また、まだそれを味わえることの幸せと贅沢、羨ましい限りである。自分の乏しい経験ではあるが、畑を手伝いで、その場でもいで、ズボンでこすって汚れを落として齧り付いたトマトの香と味、畑から良いのを見繕い直ぐに茹でて皮をむしって食べたトウモロコシの瑞々しさと甘さ。新鮮・安心野菜海外から持って来られないであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56680300X20C13A6MM8000/