「9秒クラブ」に日本の若者2人が名を連ねようか

(日経「春秋」2013/6/9付)この国の一番は長く世界の一番と同じ舞台には立てていない。男子100メートルでオリンピックの決勝を走ったのは、後にも先にも1932年のロサンゼルス大会6位の吉岡隆徳しかいない。これまで10秒を切った84人のうち82人がアフリカ系選手で、決勝は黒人ばかり、が昨今当たり前でもある。その「9秒クラブ」に日本の若者2人が名を連ねようかというのだ。見ていて力が入った。山県亮太選手(20)と桐生祥秀選手(17)、2人はこれから何度もこの国の一番を争うだろう。宗教学者山折哲雄さんが、大舞台に臨む選手が支えにする言葉を吉岡のころと現代で比べている。昔が「母」「死ぬ覚悟」「神様」で今は「自分らしく」「楽しく」「笑顔で」。でも心の底にあるものがどれほど違うか、それは分からない。そう続く山折さんの話を、レース直前の2人の重い表情に思い出したりもした。
(JN) 期待を背負うことに重圧、それはその立場にあたった者しかわからない。そのために、日頃の練習等にてどう準備して、最高の力を出すか。一番の一番の者は、それを自分で獲得したのであろうか。それは積み重ねで、過去の人々の肩に乗り、それが積み重なった。自国にその肩がなければ、持ってこなければならないが、それは容易くないのであろう。ガラパゴスで喜んでいるなら島国の中での一番で良いのだが、陸上は世界標準が明確単純、世界一になるための技術をいかに見出し、活用するか。山県亮太選手や桐生祥秀選手のような人材は、世界中に転がっているであろうから、まずはその若者たちと他流試合の旅に出たい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO56006690Z00C13A6MM8000/