揺れる大地で暮らすことを折に触れ思い起こす

(日経「春秋」2013/2/24付) 首都の中心にあるマンモス大学が、大地震に襲われたらどうなるだろう。若手芥川賞作家、綿矢りささんの最新作「大地のゲーム」は、未来の日本らしき国を舞台にした小説だ。残った校舎では家を失った学生たちが共同生活を送るたくましく生きる主人公の女子学生。ある日、疲れで目をきつく閉じて、こう想像する。次に目を開けたら、どこか別の国の知らない部屋に瞬間移動していればいいのに、と。東日本大震災から、もうすぐ2年がたつ。私たちが揺れる大地で暮らすことを折に触れ思い起こすために、感受性の豊かな作家や美術家たちの果たす役割は大きい。来月は都内で、被災地での復興支援と作品づくりに取り組むアーティストたちが、展示や講演などの催しを約3週間にわたり開く。日本で生きる人にとって震災は終わらないものだと主催者。東京で開くのは「その日」に備えるためもあるという。封印したい記憶、目を背けたい可能性をどう心に留め置くか。悲しみ、不安、希望など見えない思いを形にするプロに期待したい。
(JN) 何千人もの人々がキャンパスの中にいる。建物が崩壊しなくとも、人の動きがどうなるのか。帰れない、帰るところがない、状況がわからない、条件は様々だ。ではどうすればよいのか。若者には被災地へのボランティアを積極的に行ってほしい。被災地へ行き、被災した方々の手伝いをするのは支援だけではない。将来の人たちのためにも、体験を直に伝えていただくことでもある。辛い経験を思い起こすのは申し訳ないが、皆様、ご理解ください。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52081970U3A220C1MM8000/