福島の復興を加速させよう

(日経「社説」2013/2/10付) 東日本大震災からの復興の司令塔である復興庁が発足して10日で1年がたつ。政府は福島に復興再生総局を設けて、復興庁、環境省内閣府の現地組織を束ねる体制を整えが、縦割り行政のままでは事業は円滑に進まない。今回、体制を見直した点は評価するが、福島の再生総局に名実ともに権限を大幅に移さないと何も変わらない。岩手や宮城では被災者の住宅再建が始まりつつある。一方、福島は今もそれ以前の段階だ。まず、原発事故で汚染された地域の除染を急がなければならない。環境省は2014年度中の稼働を目指し、福島県内の9カ所を候補地に挙げた。だが、当初一方的に候補地を決めようとしたために地元には不信感がくすぶる。候補地のなかには放射線量が下がり、住民が立ち寄れるようになった地域がある。こうした地域ではインフラの復旧や企業誘致策なども併せて示す必要がある。最短でも5年は帰還が困難な区域と、一時帰宅は認める区域、除染を急ぐ区域との線引きをまだ終えていない町もある。区割りによって住民への賠償額が異なることが一因だ。政府と地元の自治体が協力して、こじれた糸を解きほぐさないと前に進めない。
(JN) あと1か月で震災から2年になる。福島には、震災と原発の二つがある。原発問題は日本全体の問題も絡み、真実と妥協との間で、政府の判断力が問われる。また、我々国民は、政府の動きをきちんと見守り、次の選挙への対応を自覚しなければならない。そのためにはマスコミの本当の力が必要だ。それは、現実の今の福島をもマスコミが正確に伝えて行くことも、復興に欠かせないであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51589980Q3A210C1PE8000/